Festival Report フェスティバル レポート 2023
火花散る瞬間 / Spark!(インタビューレポート)
「プロのアーティストらとともに、市民や観客らが混じり合ってこそ、大きなエネルギーの花火が打ちあがる。」そんな想いで企画された、大道芸ワールドカップ30周年の夜空を彩る打ち上げ花火「Spark!」。
ショウ全体の魅力は他の記事(その1・その2)で紹介されているため、今宵は花火を彩る炎の一つ、市民に焦点を当てたい。
「Spark!」には、プロのアーティストとともに市民も舞台にあがっている。市民ゴスペルチーム「Joy Choir」と静岡大学ダンス部だ。
(市民の代表として舞台に上がるJoy Choirと静岡大学ダンス部)
舞台はJoy Choirのコーラスからはじまる。彼らはボランティアスタッフのチョッキを着て会場にまぎれ、フラッシュモブとして会場で歌声を響かせる中で「Spark!」の幕が上がる。
うまく会場にまぎれすぎて観客からスタッフだと勘違いされ、お客様のへ対応をしていたためになかなか舞台に上がれない人もいたようだ。
上演後、彼らに取材を申し込むと「プロのアーティストと仕事をすることで、プロの仕事の仕方がわかり経験値がぐっと上がった。ひとりひとりの舞台に上がるうえでの意識改革につながった」と満面の笑みで答えてくれた。
一方、天平とのコラボもあった静大のダンスサークルのメンバーに話を聞くと、
「大きな舞台で上演ができて光栄で嬉しい。」
「お客さんの顔が見えるステージで経験を積めたことは大きな財産です!」
「今後のダンスの創作に活かしていきたい。」
とこちらも充実感あふれる笑顔で取材に答えてくれた。
(天平と静岡大学ダンス部のコラボ)
「Spark!」からは様々な意味が読み取れる。
スターバックスでCEOをしていた岩田松雄は車体溶接工場を見学している時に、上司から「火花散っている瞬間だけが本質的に付加価値を生み出している」ということを学んだと話している。付加価値、創造性とはまさに火花散る瞬間に生み出せることだろう。
火花は2つの別々の物を融合させる。
アーティストと観客双方の火花が「Spark!」の舞台では舞っていた。アーティストを中心に、観客の拍手が広がり、その様はあたかも打ち上げ花火のよう。俯瞰して見ると、アーティストという打ち上げ花火から広がった火花が、しだれ柳のように夜空に広がっていくようだった。
そして、人体の中にも「Spark!」はある。脳の中、シナプスだ。
ニューロン同士が結びつく時、シナプスに火花が散る。このニューロン間の火花は、市民として参加したJoy Choirと静岡大学ダンス部をプロのアーティストと結びつけた。
より高みにいるプロと同じステージに立つことで、今後の彼らの活動の刺激としてつながった。新しいネットワークが築き上げられたのだ。そして、このネットワークは、大道芸の街、静岡の次の文化の萌芽となり、市民活動として結実し、次の30年の静岡の文化を創っていくはずだ。
1992年の火花は小さかったかもしれない。しかし、その火花がいまの静岡の文化を創った。30年の節目に瞬いた新たな火花が、アーティスト、市民へと今宵もつながった。この火花が30年後はどのような炎となるだろうか。次の30年が楽しみになるそんな素敵な宵だった。
最後に「Spark!」を受け継いだ、市民ゴスペルチーム「Joy Choir」と静岡大学ダンス部の今後の活動を紹介したい。彼らの活動もまた市民の間であらたな「Spark!」を生み出してくれることだろう。
【市民ゴスペルチーム Joy Choir】
12/16(土)静岡、アルティエでのイベント、12/22(金)東静岡にてクリスマスライブに出演予定。
【静岡大学ダンス部】
2024年2/11(日)しずぎんホールユーフォニアにて自主公演。
ぜひ、こちらの「Spark!」もみてほしい。
なお、大道芸ワールドカップ静岡で「Spark!」をみるチャンスはあと2回。当日券の販売もあるので、ぜひみなさんも一緒に「Spark!」していただきたい。
【Spark!インフォメーション】
●開演日時・チケット料金
11月4日 19:00~20:00 1,500円
11月5日 18:30~20:00 2,000円
●開演場所
アイワポイント(6番ポイント)※駿府城公園富士見広場
●当日券販売場所
富士見広場入り口ファミリーマート特設ブース
より詳しい情報はこちらから
written by Y.K.Kobayashi /photos were taken by Ume
2023/11/04 12:57 AM