VISION ビジョン

私たちが目指す社会成果

私たちは、以下の5点を評価目標に、このフェスティバルを始めました。

このフェスティバルが企画されていた1980年代終盤の日本は、バブル経済にも陰りが見え始め、社会全体が次に向かう方向性を模索しはじめた時代です。私たちは、21世紀における街の在り方を議論し、経済偏重ではない「心の豊かさ」を実現することを一つの在り方として位置づけました。もう一つは、従来の日本のまちづくりのような行政任せではない、市民主導型の都市経営の必要性を訴えました。その結果、私たちは新たな施設を作ることなく、今ある資源を活用し、誰もが文化芸術の素晴らしさに触れることの出来る場と機会の創設を描きました。「まちは劇場である。そこが文化芸術エネルギーに満たされた時、人も街も素敵に変わる。」当時から一環としたテーマを掲げ、歩みを進めてきました。

日常における文化芸術の必要性への理解を深める

文化芸術は、人々の生活に潤いを与えたり、感受性を高めたり、多様性を認めたり、コミュニケーションのツールになったり、笑いや感動が心を元気にしてくれたり、自己発見につながったりと、実に様々なチカラがあるものだと信じています。私たちは最終的には多用にわたる文化芸術領域を、多くの人に楽しんでもらいたいと思っています。しかし、文化芸術は難解なのでは、と自ら触れる以前に、劇場などから足が遠のきがちです。もっと身近に、気軽に文化芸術の素晴らしさに触れて欲しい。そう考え、誰もが通りすがりに見ることが出来る大道芸を核としたフェスティバルをスタートさせました。年々、人々はアートへの興味の幅を広げ、様々な表現を積極的に楽しんでくれています。

市民の都市経営への参加意識を高める

イベント会社や広告代理店に頼るのではなく、市民の知恵や行動力を集結し、企画から運営までを市民が主体となって行う。スタート当初から変わらない姿勢です。乗らない、踊らない、なんでも辞めようよという気質に思われていた静岡市民が、実は、大道芸ワールドカップの場を得て、老若男女かかわらず、積極的に企画運営に携わっています。年間活動している実行委員は約120名、当日のボランティアスタッフは1,000名を超えています。最近では県外からもボランティア参加する人達が増えています。また、2年目から始まった大道芸カレッジは、毎年定員を超える応募があり、現在市民クラウンは500名以上になります。こんな都市は、世界広しといえど静岡市以外にはありません。

市民の都市への誇りを高める

大道芸ワールドカップが始まってからは、年々、国内のみならず海外からも訪れる人が増え、またメディアへの露出も増え、今では静岡市に欠かせない名物として市民の誇りになっています。イベントの枠を完全に超え、市民の生活になくてはならない"ふるさと静岡"の「祭り」となってきています。静岡といえば大道芸!子ども達からもそんな言葉が聞かれます。

国際都市としての知名度を高める

海外では、全くと言っていいほど知名度がなかった静岡市ですが、大道芸ワールドカップを通じて、特にフェスティバル関係者、アーティストの中では、その名が知られるようになりました。海外からのフェスティバル参加希望者は、年々増え、静岡を大好きになってくれるアーティストも多く、リピート参加してくれています。ここ数年、海外からの旅行者も増え、まさにシティプロモーションの目玉商品であると言えます。フェスティバル間での交流も始まっています。

結果として静岡市へ人が集まり経済が活性化する

毎年、フェスティバル開催期間に訪れる人は、4日間で150万人を超えています。経済波及効果は、2007年の調査で22億円と算出されました。また、大道芸をきっかけに初めて静岡市を訪れた人が、まちの魅力に触れ、別の機会に訪れるといった、間接経済効果も非常に高いと言われています。このように、大道芸ワールドカップとともに、人が元気になり、まちが元気になっています。

世界に輝く静岡

『大道芸ワールドカップin静岡』は、1992年の第1回目より『街は劇場』というコンセプトで開催してきました。
これは、普段私たちが生活する日常世界が、ひとつのフェスティバルによって、劇的にその姿を変え、非日常の世界を作り、それを市民が体験・体感することにより、自分たちの住む街の価値を再認識し、将来的な可能性を感じることができるようになるという考えに基づいています。

『大道芸ワールドカップin静岡』はこのコンセプトのものと、継続を目指しています。また、『言葉だけに頼らないコミュニケーション=DAIDOGEI=パフォーミングアーツ』という国際的な共通事項を通じ、『人と人がつながりあう場』、『活躍の場』をつくり、静岡と世界がつながる場となる未来を目指します。
そして、コミュニケーションテクノロジーの恩恵や経済のグローバル化により、ボーダレスになった社会において、「大道芸ワールドカップin静岡」が生み出す、温もりのあるリアルなネットワークの重要性を将来にわたって継承していきます。

私たちは、多様性を認める魅力的な街となり、好奇心や自由な発想を持つ人を育て、世界に向けたメッセージを発信する人々を多く抱える都市作りが重要だと考えます。そしてそれが、『世界に輝く静岡』の未来の姿であると思いを馳せます。

さて、難しいことは抜きに、たくさん驚き、笑い、感動してください。街に溢れるたくさんの笑顔と元気を心いっぱいお持ち帰りください。

『人が元気になる。街が元気になる。』
それが私たちの願いです。