Festival Report フェスティバル レポート 2025

ブームを超えたヨーヨー/SPIN stAr

皆さんの中にも小さいころに一度はヨーヨーで遊んだ事がある人は多くいると思います。

しかし、遊びを超えてパフォーマンス、さらには競技にもなると考える人は少ないのかと思います。

SPIN stAr の3名、Rei、TOMMY そして SOUL はそれぞれ異なる部門で世界チャンピオンになったメンバーで、彼らのコラボパフォーマンスは必見です!


紐とヨーヨーが分かれているオフストリングでは、円盤の形状のボディーを高く上げたり、うまくコントロールしてまた紐でキャッチします。

スピードとダイナミックな動きが楽しめる迫力あるパフォーマンスです。

一方で、多くの方になじみ深い紐とボディーがつながっているヨーヨーでは、曲に合わせて優雅で上品な動きを楽しむもので対照的。

どちらも甲乙つけがたい魅力のあるパフォーマンスです。


SPIN stAr の方たちが遊びを超えて取り込むきっかけとなったのは、ハイパーヨーヨーがブームとなった時、単なるブームで終わらせたくなかったから。

また、幼少期からこの大会を間近で見ており、パフォーマンスも参考にしているそうです。

少しでもヨーヨーに興味を持ち、ブームを超えて楽しむ人が増えることがパフォーマーの喜びとのこと。

(h.s.)

2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/11/01 17:00

兄弟ジャグラーが魅せた奇跡のフィナーレ/桔梗ブラザーズ

突然出てきた2人の兄弟。クラブを投げながら風を確認する姿は、ショーが始まっていないのにも関わらず綺麗で、観客は一瞬にして目を奪われた。その後、MCを合図に、兄弟ジャグラー桔梗ブラザーズのショーが始まる。

まず彼らが最初に見せた技は、ボールジャグリングだ。5個から始まったボールは彼らの手を軽々と行き来しながら徐々に個数を増やしていく。その目に見えないほどのスピードと正確性に、観客の拍手は止まらない。

その次はディアボロだ。2人でパスしあいながらの技の連続は、何度も何度も見ている人をわくわくさせた。リズミカルな音楽に合わせてみんなが手拍子をしていると、途中で音楽が途切れて「話してもいいですか」と兄が言い、ユーモアなMCが始まる。トーク力は素晴らしく、観客がみな笑顔になった。

後半はクラブジャグリングが主流のショーだ。8本のクラブが宙を舞い、それを落とすことなく彼らは行き来させる。テンポよく高速ジャグリングをする姿に、観客は圧倒されるばかりだ。

「挑戦させてください」

兄が言ったその言葉に、観客は息をのんだ。桔梗ブラザーズは普段、確実にできる技しか披露しない。そんな彼らは、大道芸ワールドカップを挑戦の場として毎年選んでいる。

今年の挑戦は、11本でのグラブジャグリングだ。繰り返し挑戦し見事成功した時には、観客は驚嘆し拍手が鳴りやまなかった。ガッツポーズをする彼らの姿は輝いていた。

たくさんの練習と家族ならではの自然と息の合った動き、彼らは毎年挑戦し、あなたに元気と笑顔、活力をお届けするだろう。

(とす)



2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/11/01 16:58

どこでもライブハウス/G-jo OneManBand

マイクチェックの時間でさえ、彼にとってはパフォーマンスの一部である。

花道を通り抜け観客席へ足を進めたかと思えば、街へ飛び出し演奏を続ける。

その境界線のなさこそが、彼の音楽の魅力である。

かつてはプロのドラマーだった彼だが、「もっとインクルーシブに、誰もが楽しめる音楽を届けたい」という思いから、ライブハウス以外の場所でもできるワンマンバンドとしての活動を始めたという。

そして今年、曲や心境の変化を表現したいという思いから、去年とは異なる名前で再び静岡に帰ってきた。

愉快でありながらキレのある彼の演奏は、子供から大人まで…

いや、そんな言葉では言い表せないほど、誰もが楽しめるパフォーマンスだ。

彼は「このフェスティバルにもっと多くの音楽パフォーマーが集まってほしい」と語り、来年以降の大会への期待を膨らませた。

(のーす)


2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/11/01 16:52

ダイススタッキングの先駆者に/すごろく

城門を抜けた先、屋台の立ち並ぶ駿府城公園は人々の熱気に溢れていた。

すごろくは、13:00からパフォーマンスを行うのだが、その10分も前にはステージに立っていた。

「パフォーマンスの前のそわそわする時間を控え室の中で過ごしたくない」と語った彼は、観客からお題を受け取り、なんとなぞかけを始めてしまった。お題がさまざまにありながらも、スラスラと解いてしまう。

巧みで軽快な話し方とフレンドリーな雰囲気。パフォーマンス前なのにもかかわらず、観客はあっという間にすごろくの虜にされたように思えた。

満を持して始まったパフォーマンスはまさに圧巻だった。

まずは、ダイススタッキング……ではなくけん玉。ダイスの形をした玉をけん先に突き刺すというパフォーマンスだ。シンプルながら盛り上がるパフォーマンスに拍手が巻き起こる。

続くダイススタッキングでは、4つのダイスを縦に積み上げる一般的なものから、ボトルの上に積み上げたり、空中でキャッチして積み上げたりなど、豊富なパフォーマンスを見せてくれた。

彼は、「ダイススタッキングは観客の方と触れ合うための道具でもある」と大道芸への思いを語った。

実際に、彼のパフォーマンスは観客との距離感を感じさせないよう、工夫が凝らされたものだった。そして「ダイススタッキングはまだ発展途上の競技だから、今始めれば日本一も狙える」というメッセージも添えた。

日本初のダイススタッキングの全国大会は岐阜県で開催されたが、その大会委員長を務めたのが彼だった。

日本におけるダイススタッキングの先駆者たる彼の姿を見て、心を動かされる人も少なくはないはずだ。

太陽の光が人々の熱気を包む中、舞うダイス。

日本ダイススタッキングの先駆者の珠玉のパフォーマンスを大道芸ワールドカップでぜひご覧あれ。

(Yuzuru)


2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/11/01 16:51

まるで生きているようなマリオネットたち/ジプシーマリオネティスト

大勢の観客の集まる会場。彼らの視線は演者の足元に向けられている。そこにいるのは1体のマリオネット。精巧な木彫りのマリオネットは糸につられ、パフォーマーの腰のあたりを舞った。その姿は、まるで生きているようだ。

ジプシーマリオネティストを手がけるのは、ラシッド・ニコリッチ。イタリアから来た彼は、持ち前のコミカルさで登場から観客を魅了した。「日本語は話せません」と言いながら、その手には数枚の紙。それを見ながら、彼は日本語での説明を始めた。

彼が大切にしていること、それはパフォーマンスを通して観客に自分のことを知ってもらうことなのだという。観客との意思を通わせるためにその言語をできるだけ話すのだと、彼は語った。だから、日本語はわからないが、できるだけ話す努力をする。それが面白く思われてもかまわないのだ、と。

ラシッドは今回、パフォーマンスの2日前から日本語を学んだのだという。用意したセリフは、大道芸スタッフの協力もあったのだそうだ。その甲斐もあってか、ラシッドが日本語で話した時の観客のウケは抜群だ。

ラシッドの操るマリオネットは、すべて彼が作ったものだ。今回のパフォーマンスで使ったのは3体。全部で13体あるのだそう。

まず登場したのは、骸骨のマリオネットだ。観客の一人を呼び寄せ、ステージで骸骨と同じポーズを取らせるなどコミカルな演技が光った。

次に登場したのは、赤いドレスを着た女の人。ラシッドの姉妹にインスパイアされたというそのマリオネットは、通常は4、5か月制作にかかるところを6か月を要したというだけあって、細かな動きまで表現されていた。

最後に登場したのは、虎のマリオネットだ。まるで本物のように走る虎の動きはしなやかであった。

3体のマリオネットは、すべて本当に命のあるように動く。それを操るラシッドの腕は本当に見事なものだ。

コミカルで楽しいラシッドのしゃべりと生き生きとしたマリオネット。この2つの融合した最高のパフォーマンスをぜひ一度体験してみてはどうだろうか。

(Elle)


2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/11/01 16:23

限界に挑む超高速遠心力トリオマシーン!/Skating Nistorov

ローラースケートを履いたイタリアン・ペアが、いきなり特大円盤の上で回転パフォーマンスを始める。

相反する方向に働く遠心力で、ふたりは見事なバランスでくるくると回り続けている。

繋がれた手、あるいは引っ掛けた足が外れた瞬間、間違いなく吹き飛んでしまうだろう状況。

それでもふたりの体は、ローラースケートの軌道上で軽やかに美しい円を描いていく。


次には、ふたりの繋がりが「首輪」へと変化。

互いに手も足も触れず、まるで超高速メリーゴーラウンドのようなスピンを見せる。

首輪のコネクターが切れはしないかとヒヤヒヤするが、見事に成功!

さらに次の演技では、ラトビア出身の女性スケーターが加わり、より立体的でスリリングな、“ぶっ飛び”回転トリオ・パフォーマンスが展開される。

観ている側も緊張を強いられ、力は入りっぱなし。

トップギヤのまま駆け抜ける超高速パフォーマンス――。

あっと言う間の10分間だった。

(ヒロ)


2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/11/01 16:16

うどんロープのエアリアルとボールパフォーマンスの妙/Compagnie Zalatai

舞台の中央には約8メートルの高さのグラスファイバー製ポールが三脚組みされ、トップのリングから十数本の白のロープが垂れ下がっている。

巧みに手足を操り、シャルロットはいとも簡単にこのロープを登り、あれよあれよという間にトップでポーズを決める。


このエアリアルにジャグラー・アレクサンダーの手足を使ってのボール・パフォーマンスが加わり、やがてシャルロットもボールのキャッチャーとなり、2人で息の合った繊細さに満ちたショーを演出する。

今回の来日はふたりの子どもを連れての旅行で、1週間前に来て観光も楽しんでいるとのこと。

日本食も堪能し、エアリアルに使うロープをうどんみたいだと表現するほど。

ちなみにZalataiはロシア語でゴールドと衣服修繕の意味を持った言葉だそうです。

(ヒロ)


2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/11/01 15:59

情熱の赤、女王陛下のシークレット・サーカス/Her Majesty's Secret Circus

黒服に身を包んだ、男女2人組のスパイ。

彼らのミッションは、乾杯したグラスで赤い花をキャッチすることから始まる。

Her Majesty's Secret Circus (ハー マジェスティーズ シークレット サーカス) のふたりは、アメリカを拠点に世界中を飛び回り、数々のミッションを遂行してきた。

ここ日本は、なんと16か国目のミッションの地だ。


彼らの任務――それは「笑いを通じて世界を救う」こと。

そのために、ふたりは今日も身体を張って、さらなる危険なミッションへと挑んでいく。

最大7本のファイヤートーチを投げ合うシーンは迫力満点だ。

危険度が増すたびに、彼らのコスチュームには赤い色が増えていく。

そしてもっとも危険な最終ミッションに向かう。

折々に挟まれるコミカルな日本語のセリフには、思わず笑ってしまう。

今回が初の日本での任務ということで、日本語の習得に2ヶ月かけたという。

ミッション・コンプリートのためには、観客の協力が必要になることもある。

もし彼らにお願いされたら、ぜひ力を貸してほしい。

そして彼らの任務を成功させるために、どうか大きな笑いと拍手、そして歓声を!

(みすず)

2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/10/31 17:51

空気さえ息を飲む、奇跡の軌道のジャグリング/ハタダ

それまで帽子をくるくると遊ばせていた彼は、椅子に腰を下ろし、スプーンとカップ、ソーサーを手に取る。

ゆっくりとそれらを観客に見せると、その優雅な手つきに観客は釘付けになった。

瞬きをしたその瞬間、ソーサーが宙を舞ったかと思うと、カップの中を高速で回転する。

スプーンの「カラン」という音が響いた時には、すでにすべてが元の形に戻っていた。

その後も彼は、杖と帽子を額に乗せてバランスをとったり、3つの帽子を足から頭へと華麗に移動させたりと、軽妙な余興で観客を迎え入れる。

やがて彼は観客に歩み寄り、「まもなくはじまります」と書かれたボードをひっくり返した。

「SHOW TIME!」の文字が見えた瞬間、パフォーマー・ハタダのショーが始まる。

リズミカルな音楽に合わせ、葉巻の上にワイングラスや杖を乗せたり、杖を軽やかに回したり。

技を決まると吹き出す葉巻の煙が、彼の小粋さをいっそう引き立てる。

次々と本数を増やしてデビルスティックを操り、さらに高度な葉巻のジャグリングを披露。

最後には、「それも額に乗せるの!?」と息を飲む圧巻のパフォーマンスだった。

ハタダは社会人として働きながらパフォーマーとしての活動を続けている。

どんなに疲れていても、毎日外に出て道具を手に取り練習を欠かさない。

身の回りのあらゆる道具を意識して見つめ、心からジャグリングを楽しんでいる。

「静岡の人たちに、もっとパフォーミング・アーツの文化に触れて、その楽しさを味わってほしい。」

そう語るハタダの唯一無二のジャグリングをぜひ見てもらいたい。


(とす)

2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/10/31 16:31