Festival Report フェスティバル レポート 2015
大人の分別と永遠の少年の狭間で サンキュー手塚
冒頭からマシンガントーク。
と共に矢継ぎ早に繰り出される
ブラック&ホワイトな時事ネタが
目の前で炸裂するパフォーマンス。
最初から目が離せない。笑いが止まらない。
それが今年このフェスティバル参加20年を
迎えたサンキュー手塚の演技の魅力だ。
東京オリンピックロゴ
なぜかそれによく似た富士山ロゴ
ザハ(新国立競技場)
滝川クリステル(おもてなし)
五郎丸ポーズ(ラグビー)
エトセトラ・・・
社会の矛盾をばっさりと斬る
時事ギャグが冴え渡る中、
突然正義の味方が現れる。
どこかで見たような5色の
ヒーロー戦隊。
なぜか観客席から現れる
彼らは、サンキュー手塚を中心に
どこか頼りない。
しかし彼らこそがまさにこの世知辛い
腐った社会の救世主なのだ。
(…らしい)
限られた時間の中で毎度よくも
そんなに盛りだくさんの時事ネタを
集め、それぞれにストーリーを
組み立て、風刺のスパイスを
存分に利かせた面白おかしい
パフォーマンスを瞬時のうちに
生み出すものだとただ感服し、
舌を巻くばかり。
おまけに、このパフォーマンスは
明らかにその場で観客の反応を
見極めた上で瞬時のうちに
繰り出しているアドリブだ。
元ネタはあるにせよ、事前に
周到に準備されたトークや
パフォーマンスではないのは
確かだ。
彼は明らかにリアルタイムで
それらの内容をめまぐるしく
アレンジしながら観客が一番
喜ぶ演技を目の前で披露して
くれる。
それだけではない。
彼のパフォーマンスはどこか
少年らしさを感じる。
中高生の「男子」が馬鹿笑い
しながら繰り出すくだらなくも
笑いが止まらぬギャグ。
年を重ねた人から見れば、
青春の一ページを
数十年ぶりに垣間見て
どこか懐かしさを覚える
若さへの憧憬に思えるだろう。
逆に若い人が見ればまさに
リアルで共感を覚える
ような感じがするのではないか?
少なくとも筆者にはそう思える。
時事ネタで繰り広げられる
社会風刺は、まさに分別ある
大人の目線で語られる演技だ。
しかしその反面、ピュアで
無邪気な少年の姿を垣間見せる
パフォーマンスに世俗の垢に
まみれた感じは一切ない。
そんな、大人の分別と、
永遠の少年が同居している
かのようなサンキュー手塚の
そのパフォーマンスは、
一見変わらないように見える。
少なくともそのスタイルは
20年前とほとんど変わらない。
にもかかわらず、いつ観ても
陳腐さなど何一つなく新鮮な
印象を受けるのはなぜだろう?
その理由は筆者にはわからない。
ただ言えるのは、彼の頭の中は
おそらく常人には計り知れず、
その頭脳から繰り広げられる
パフォーマンスはいつだって新鮮で、
いつだって世相に合っていて
常に観客の期待を決して裏切らない
ということだ。
20年はそんな彼にとって
「節目」ではないようだ。
彼にとって時の流れに節目などなく、
淡々と生きていく中で見つけたものを
元に淡々と「表現」し続ける為にある。
今後も彼はめまぐるしく変わる
この社会を怜悧な大人の目で
鋭く見つめ続けながら、
その半面で心は少年のままで
これからも誰もが心から楽しめる
パフォーマンスを私たち観客に
見せ続けてくれるに違いない。
追記:
冒頭写真の東京五輪ロゴネタには
どうやら「観客参加型」の続きが
あるそうです。
サンキュー手塚さんの演技をまだ
ごらんになっていない皆様は
ぜひこれからご覧くださいませ。
(by広報スタッフ)
(富士山なすび/ 日和)
2015/11/02 04:56 PM