Festival Report フェスティバル レポート 2025

言葉がなくとも、伝える物語/紙磨呂

赤い衣装に身を包み、美しい物語を見せてくれる――それがマジシャンの紙磨呂だ。

「駿河屋スゴワザポイント」は屋内の会場だったのでより身近にパフォーマンスを感じられた。

スタートと記されたプレートが掲げられるとともに、彼のパフォーマンスは始まる。

彼のマジックは様々な道具を駆使して作られる。

ゴムやコイン、飲み物の缶、リング、トランプ…。

マジックらしいものからそれらしくない意外なものまで。

そして、それらを利用したどれもが個性的なパフォーマンスだった。

終盤で行われたのは「小さな命の物語」というパフォーマンスだ。

これは、紙を扱ったパフォーマンスで、美しくも儚い、まるで物語を見ているよう。

すべての観客がその物語に引き込まれてしまっていた。

彼はパフォーマンスの中で、積極的に観客と触れ合っていた。

空っぽだと思われていた飲料缶から飲み物が出てきたと思えば、それを観客にプレゼントしたり、観客の髪からコインを取り出すようなマジックをしたりなど、物語に入り込めるよういくつもの工夫が施されていた。

「中性的な印象を与えたい」と彼はその姿について語った。

さらに「無言であっても観客に伝わるように意識している」とも語る。

これらの工夫のおかげで、観客は紙磨呂の物語を堪能できるのだ。

紙磨呂は学芸員と美術検定2級の資格を持っている。

「空間的なデザインなどの面で役に立っている」と彼は語った。

美しいパフォーマンスの中には彼の美的センスも込められている。

今回は屋内でのパフォーマンスだったが、屋外でもぜひ見てみたいと思えるパフォーマンスを、紙磨呂は届けてくれた。

興味がある方はぜひ、大道芸ワールドカップin静岡で紙磨呂の物語を体感してみてほしい。

(Yuzuru)


2025フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2025/11/02 17:34