Festival Report フェスティバル レポート 2016

時空を超えた世界へ・・・/SHIVA(シバ)

あまり語らずに始まるパフォーマンス。見ている観客たちは言葉を忘れたかのように見とれ、その場の雰囲気は
現実世界とは少しかけ離れた、フィクションの世界にいるかのような雰囲気になる。

これまで"白リーマン"として大道芸ワールドカップでは親しまれてきたSHIVAさん。
"もう一人の自分"だと本人が語るように、今回は白リーマンとは違った一人の"彫刻家"として演技する。

造形の前には今回から初めて取り入れたギターの前奏が始まる。ギター好きということもあり、これまで20本以上手にしてきた。
今回のギターの重さはなんと4kg。これまでは披露してこなかったギターにも注目できる。



ギターの前奏後は音楽に合わせた造形作りへ。造形はお客さんの中から一人選んで始まるが、造形に至るまでの過程にも思わず笑みがこぼれるしぐさが続く。
スケッチブックに描く様子は中でも個性的。その描く表情はどことなく不気味であるが、いかにも楽しそうな様子が覗える。
こうした何気ないしぐさを見ていくうちに、SHIVAさんが作り出す別世界に自然と引き込まれていくだろう。

その後も休むことなく軽快に続けていく造形。わずか10分という短時間でありながら、粘土をうまく調整して描いていく造作に、無駄は一つもない。
見る見るうちに完成した作品には、モデルのお客さんの特徴が繊細に捉えられており、完成時にはそのそっくりさに思わず感嘆するだろう。

これまで170人以上の顔を描いてきたSHIVAさん。その活動は日本を越えて世界でも行われている。
シャーマンをモデルとした、お客さんをまるで"トランス状態"に連れ込むような独特の雰囲気を作り出すその演技に、
他のパフォーマンスでは見られない大道芸の奥深さを感じるだろう。

短時間で造形した実物作品は、残念ながら壊してしまうため二度と見られない。
30分間限りの別世界へ誘う演技を、ぜひご覧あれ!!

written by HIRO/ATSUMI

2016フェスティバルレポート / アーティスト フリンジ部門
2016/11/04 04:55 PM
<<次の記事 前の記事>>