Festival Report フェスティバル レポート 2014

常に進化し続ける独特の世界観/シバ

白いサラリーマン。略して『白リーマン』。
彼は文字通り頭のてっぺんから足の先まで
どこもかしこも真っ白な姿をしている。
誰が見ても「目立つ」と感じるいでたちだ。
神出鬼没。いつ、どこに現れ、どこで消えるか
まったくわからないという噂の彼である。
スタップすらどこで出会えるかわからない。

ところが。
こちらから見える場所にいても最初は見えず、
至近距離まで近づいた瞬間、初めてその姿に
気づき、仰天させられる。
まるで彼が気配を「消して」いるかのように。
すると彼はしたり顔でこちらにVサインする。
全く食えない男である。



白リーマンは一介のビジネスマンだ。
時には忙しい仕事の合間を縫って
食事もするしおやつも食べる。
しかし彼の場合はそんな何気ない動作、
ごく普通の動作自体がものすごく目立つ。
多分彼が白くなくても目立つだろう。
その理由を知りたくて彼の動作をよく
観察した。ちなみにおやつの時間である。











美しい。動作というよりはこれは「所作」だ。
例えるならば茶道で決められたお作法の様だ。
おやつを食べるという行動をこれほどまでに
美しく芸術的に行う人間を私は他に知らない。
そこには日本の伝統芸能芸術同様に型がある。
それを元に計算されつくされた伝統が持つ
「型のある作法に基づく所作」というべきか。

その一連の動作、所作を見ていて思った。
彼は「礼儀正しく行動も美しい日本人像」を
少なくとも完璧に身に着けようとしている。
彼は模範的なニッポンの白リーマンなのだ。
パントマイムの心得があると聞いていたが、
それらの一連の動作はマイムというよりは
やはり日本的所作と言う方がふさわしい。

しかし、それは彼の「静」の一面でしかない。
彼の中には静と動のスイッチがあるらしく、
それは予告もなくいきなり切り替わり、
またこちらは仰天させられてしまう。

「動」の彼は外国発祥のパントマイムに
落語や狂言のような躍動感ある楽しい伝統芸を
織り交ぜてその場にいる人の目をくぎ付けにし、
人の心を和ませる。そんな彼のパントマイムは
もはやオリジナルの『白リーマイム』とでも
呼びたくなるような独特な世界観となっている。



しかし本人はおそらくそこで満足していない。
どこまでも高い理想を描き、所作と芸を磨き、
それは日々変化と進化をしていくに違いない。
秒刻みで進化し続ける白リーマンの世界を
出来るだけ多くの人々がその目で見て確かめ、
彼の世界にどっぷりと浸かって欲しい。

(富士山なすび)


追記(業務連絡???)
というわけで。白リーマンさん。
このレポを読んで「ちゃうわ!」と
突っ込みたい箇所があればスタッフへ
ご連絡をお願いします。


2014フェスティバルレポート / 2014アーティスト ウォーキングストリート部門
2014/11/03 10:14 AM
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