Festival Report フェスティバル レポート 2014

公園のベンチと素敵な出会い/クレール デュクルー

ベンチを斜めに引きずりながら現れる1人の女性。
抱えるベンチに、そして一歩ずつ進む足取りに、深く没頭し集中していた。
彼女がふと目を上げて観客の少年と目が合ったとたん、彼女と少年の間に生まれたストーリー。
ベンチが彼女の世界への入り口となり、観客は彼女の世界感に、優しく穏やかに包まれていった。

ショーの中で一番観客を魅了したのは、観客と同じ空間にいる彼女自身の存在感だった。
ダンスの名門であるコンセルヴァトワールを卒業した後、マイムやフィジカルシアターなど様々な技術を学んだクレール デュクルー。
様々な手法を取り入れていった結果、どのジャンルとも違うオリジナル色の強いパフォーマンスが出来上がったのだという。
1997年にレアンドレと来静した彼女を覚えている方も多いのではないだろうか。
今回はソロでの出演となり、前回とはまた違った魅力を携えて戻ってきてくれた。

深く、静かに、穏やかに進んでいくクレール デュクルーの優しいストーリー。
あの心地よさは日常の諸々を爽やかに吹き飛ばしてくれた。



(未奈)

2014フェスティバルレポート / 2014アーティスト オン部門
2014/11/02 03:32 PM
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