Festival Report フェスティバル レポート 2023

エンターテイメントを愛する兄弟 / 桔梗ブラザーズ

 カラッと晴れた秋空の太陽が、宙に舞うクラブのコーティングに反射し煌びやかな軌道を描く。

 23年のジャグリング歴によって築き上げられた彼らの高い基礎力と経験値は、ジャグリングにとっての大敵である逆光すらものともしない。

 今は動画サイトなどでも、ジャグリングというコンテンツに触れる事はできるが、彼らが生でパフォーマンスを見る価値を大切にするのは、こだわりぬいたスピード・精度・テンポのジャグリングが放つエネルギーと、アーティストとしての熱い魂を観客に肌で感じてほしいからだろう。

 高度な技の数々が繰り広げられても、それで観客が疲れてしまわないように一息つく間まで用意している。魅せるすべてがトップレベルの彼らだが、そんなアーティストとしてのショーの立ち振る舞いが完成されているのは、桔梗ブラザーズがジャグリングを始めたきっかけにあるのだと思う。



 彼らは横浜で大道芸を見て、アーティストになる事を志した。始めて触ったジャグリング道具は2人が得意とするクラブではなく、兄はシガーボックスとデビルスティック、弟はディアボロだという。

 少し経ってからクラブジャグリングを2人で始め、その後のジャグリング全国大会でパフォーマンスを披露した事で、改めて人前で演じる事の魅力と喜びの虜になったという。それから更にジャグリングにのめり込んでいき、アーティストを夢見る少年だった2人は世界屈指のアーティストになるに至った。

 かつて2人がアーティストを志すきっかけになったあの感覚を観客に届けたい。

 生で見る価値を大切にしている桔梗ブラザースの表情は、宙に舞うクラブと同じように煌びやかに、そして楽しさに満ちていた。



(写真・記事/つばさ)

2023フェスティバルレポート / アーティスト オンステージ
2023/11/05 03:39 PM
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