Festival Report フェスティバル レポート 2023

儚くも美しいチョーク画を描き続けるストリートペインター / 松本かなこ

 大道芸ワールドカップでにぎわう静岡市中心街。その一角にある青葉シンボルロードの地面にチョークで絵を描く女性が目に入った。「いったい何を描いているのかな?」と地面を見ると、そこには2人の子どもと葉っぱが描かれていた。



 細部まで丁寧に描かれた色彩豊かな美しい絵。しかし、どこか細長く間延びした印象に見えたので、そこで絵を描く女性に声をかけてその旨を伝えてみた。

 すると女性は地面に書かれた矢印を指さしながら、柔らかい口調で「ここから見るといいですよ」と一言。その言葉通り矢印の場所に立って改めて絵を見てみると……



 おお、絵が細長くない。こっちから見ると絵が長くない。ちゃんとした絵になっている。

 どうやら、彼女は観客が立った状態で地面の絵を見ることを想定し、その状態で一番きれいに見えるよう計算して描いているようだ。絵心の「え」もない私だがそれだけはわかった。そして絵を見る人の視点まで意識していることに驚かされた。

 大会中、青葉シンボルロードの地面に絵を描く女性は松本かなこさん。2006年にマドンナーラ(地面に宗教画を描く女性)としてイタリアの地面に絵を描き始めて以来、日本や世界の各地で地面に美しい絵を描き続けている。

 絵を描く場所やその時々の気候、人の様子を見ながらその日に描くものを決めるらしい。

 しかし、そのような細かいところまで計算した上で描かれた絵はチョーク画。水で流すと消えて何も残らないのが残念だ。

 でも、そんな儚い絵を長年描き続けてきた松本さんは、きっと「見る人が喜んでくれればいい。絵はまた描けるから」なんて思いながら、また美しいチョーク絵を一から描くのだろう。想像だけど。

 そんな松本さんが描く儚くも美しいチョーク画を見られるのは最終日の5日まで。ぜひお見逃しなく。



おまけ:松本さんが絵を描いているところにフェイスペインター☆ミホウさんが登場。お二人のツーショットをパチリ☆

(広報スタッフA)

2023フェスティバルレポート / アーティスト ウォーキングストリート
2023/11/04 07:37 PM
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