Festival Report フェスティバル レポート 2023

動く女神像からの祝福 / 紫穂

 大道芸ワールドカップ最終日の今日、呉服町通りに美しい女神の銅像が立っていることにあなたは気が付いただろうか?

 こんなところに彫刻なんてあったかな?と素通りしてしまった人もいるかもしれない。そのくらい自然に街の景色に溶け込んでいる。遠くから見ても、近くから見ても、美しい彫刻に見える彼女が、写真を撮ったり、ゆったりと周囲を見渡す様子に「うわっ!驚いた、人間!?」と驚く声も。

 柔らかな笑みを湛え、老若男女問わず皆に草冠を被せる様子はまさに女神の祝福。美しい女神と絵画のような絵画のような1シーンを写真に収めるため、大勢の人が行列を作っていた。

 この美しい女神像を演じるのは「紫穂」。スタチュー歴10年のベテランだ。ワークショップでスタチューとしての勉強をしたのち、さまざまなイベントに出演している。

 大道芸ワールドカップin静岡2023最終日である今日は「NIKE」として登場したが、昨日は白いドレスに身を包み、白いアコーディオンを手にする「MUSE」として参加していたのだとか。

 多くの人が行き交う、このストリートという場所だからこそ、より多くの人に見てもらいたい、と意気込みを語った。

 そんな彼女と写真を撮った少女は「一緒に写真をとってもらってうれしかった」と笑顔で答えた。



 彼女の祝福に自然と皆が笑顔になる。街中で見かけたら、あなたも一緒に写真を撮ってみては?

<まり>

2023フェスティバルレポート / アーティスト ウォーキングストリート
2023/11/05 03:24 PM

美しく不思議なファンタジーの世界へ / しろみときみ

 ウォーキングストリート3にできていた人込みの一角。その中心には、まるでアンティークショップのショーウィンドウに飾られているような美しい2人組がいた。

 その名は「しろみときみ」。

 人形が人形を操っているような、独特な美しく妖しい世界を作り出す彼らのテーマは「ファンタジー」。



 ビルが立ち並び、お世辞にもファンタジーとは縁のないような静岡の街中(筆者の主観)にもかかわらず、彼らの「ファンタジー」の世界感が馴染んでいるように感じるのはなぜなのか。その秘密を聞いてみた。

 「私たちはファンタジーの世界をテーマにしていますが、決してその世界感を押し付けようとは思っていないんです。その時、その場の雰囲気や通る人々の様子に合わせて、少しずつ合わせています」

 なるほど。その時々にあったパフォーマンスを提供するからこそ、街の中に自然と溶け込んでいるのだろう。

 彼らの写真を撮っているギャラリーからは「かわいい」「素敵」といった声が多く聞こえていた。

 浜松から来ていた6人組のグループは、彼らと写真を撮った後このように語った。

 「一緒に写真を撮れてもううれしくてうれしくて、20歳、いや50歳は若返ったわね!」

 「テレビでいつも見ていて気になっていたけれど、遠くてなかなか来ることができなかったから初めて来れてすごく楽しい。」

 年輩の方と写真を撮るときは椅子を譲ったり、お子様と写真を撮るときはおもちゃのカメラを取り出してコミカルな動きをしたりと、その人の様子や年齢に合わせて動きやポーズを変えていくのも彼らの魅力だ。

 実は4日間フルでの参加は初めての「しろみときみ」。大道芸ワールドカップは思い入れのあるイベントで、ずっと心待ちにしていたという。

 「来てくださる皆さんもずっと楽しみにしていたという様子が伝わってくるのですごく楽しいです。最終日なのでさらにテンションが上がっています」

 皆様も「しろみときみ」の二人を見かけたら、一緒にファンタジーの世界に飛び込んでみるのはいかがだろうか。

<まり>

2023フェスティバルレポート / アーティスト ウォーキングストリート
2023/11/05 03:03 PM

スぺースは小さくともインパクトはでかい超一流のマジック / KISSER

 KISSER氏は、いつも小さなテーブルで規模が小さなマジックショーを行う。

 にもかかわらず、彼の周りには大きな人だかりができ、そこからしばしば大きな歓声が上がる。歓声を聞いた通りすがりの人が彼のテーブルに近づき、どんどん人だかりが大きくなっていく。

 その様子を見て「なぜこんな小規模のマジックで人が集まるんだ?」と不思議に思ったスタッフA(以下、「A」)は、人だかりの中に入り込んで彼のマジックを鑑賞してみた。



 彼が使うマジック道具はトランプのみ。それだけで魔訶不思議なマジックを成功させていく様子に目を見張った。特にすごいと思ったのが「観客と一緒に行うマジック」を次々と成功させた時だ。

 マジックに参加した観客もそれを見守る観客も「今何が起こったの?」と驚き、一瞬の沈黙の後、大きな歓声が上がって大いに盛り上った。



 大変失礼ながら、鑑賞前は「小さなテーブルでトランプだけ使って行う小さなマジックはどんなものか」と思っていた。

 しかし、実際に見たKISSER氏のマジックは、スペースは小さくてもインパクトは超でかい!さすが通りすがりの人が長い間そこに居座るだけのことはある。これは超一流のマジックだ。と感じた。

 ちなみにKISSER氏は静岡のアーティスト。かねてから「休日のおまちで同じような顔を見たことがあるなあ」と思っていたがまさかの本人だった。

 同郷の気安さから声をかけ、「トランプ以外のマジックもやるんですか?」と聞いてみた。すると「ほかのマジックもやるが大道芸では演技の時間帯を決めないスタイルなのでトランプだけ」との答えが返ってきた。

 確かにこれだけ盛り上がるならトランプだけで十分だよね……と納得。明日の最終日もまたトランプだけ使ったテーブルマジックの周りに黒山の人だかりができるに違いない。

 といっても、KISSER氏はずっと同じ場所で短時間のマジックを何度も行っている。彼のマジックを観られるチャンスは多いだろう。まだ観ていない方はぜひ青葉シンボルロードに足を運んでほしい。

(広報スタッフA)

2023フェスティバルレポート / アーティスト ウォーキングストリート
2023/11/04 09:01 PM

儚くも美しいチョーク画を描き続けるストリートペインター / 松本かなこ

 大道芸ワールドカップでにぎわう静岡市中心街。その一角にある青葉シンボルロードの地面にチョークで絵を描く女性が目に入った。「いったい何を描いているのかな?」と地面を見ると、そこには2人の子どもと葉っぱが描かれていた。



 細部まで丁寧に描かれた色彩豊かな美しい絵。しかし、どこか細長く間延びした印象に見えたので、そこで絵を描く女性に声をかけてその旨を伝えてみた。

 すると女性は地面に書かれた矢印を指さしながら、柔らかい口調で「ここから見るといいですよ」と一言。その言葉通り矢印の場所に立って改めて絵を見てみると……



 おお、絵が細長くない。こっちから見ると絵が長くない。ちゃんとした絵になっている。

 どうやら、彼女は観客が立った状態で地面の絵を見ることを想定し、その状態で一番きれいに見えるよう計算して描いているようだ。絵心の「え」もない私だがそれだけはわかった。そして絵を見る人の視点まで意識していることに驚かされた。

 大会中、青葉シンボルロードの地面に絵を描く女性は松本かなこさん。2006年にマドンナーラ(地面に宗教画を描く女性)としてイタリアの地面に絵を描き始めて以来、日本や世界の各地で地面に美しい絵を描き続けている。

 絵を描く場所やその時々の気候、人の様子を見ながらその日に描くものを決めるらしい。

 しかし、そのような細かいところまで計算した上で描かれた絵はチョーク画。水で流すと消えて何も残らないのが残念だ。

 でも、そんな儚い絵を長年描き続けてきた松本さんは、きっと「見る人が喜んでくれればいい。絵はまた描けるから」なんて思いながら、また美しいチョーク絵を一から描くのだろう。想像だけど。

 そんな松本さんが描く儚くも美しいチョーク画を見られるのは最終日の5日まで。ぜひお見逃しなく。



おまけ:松本さんが絵を描いているところにフェイスペインター☆ミホウさんが登場。お二人のツーショットをパチリ☆

(広報スタッフA)

2023フェスティバルレポート / アーティスト ウォーキングストリート
2023/11/04 07:37 PM

楽しみでできた"時間" / BiG Roots

 お城の周りを歩き、旅をしているグループ BiG Roots。

 派手な音楽や振り付けと共に、彼らは音楽に合わせて踊り舞ったり、何本もの縄跳びを華麗に操り、飛び跳ねてみせたり、目も離せないパフォーマンスがたくさん。その様子は、実際に見てみないとわからないだろう。

 でもそれだけじゃない。パフォーマンスを進めるのはほかでもないお客さんのみんな。彼らはみんなを巻き込もうと、いつも"登場人物"を探している。みんなが揃ったら誰もが喜び始める。

 そして歩く旅をしているのは決して彼らだけではない。他の旅人と偶然合流して、もっと遊びが楽しくなる。それこそが彼らの、みんなの喜びなんだ。

 ぜひ君も駿府城の周りを歩いて、辺りを見渡してほしい。もしかしたら"彼ら"は、今も登場人物の君を待っているかもしれないよ。



(Written by つーさん/Photo by shinohara)

2023フェスティバルレポート / アーティスト ウォーキングストリート
2023/11/04 07:18 PM

何を感じるかはあなた次第 / ガンジスインダスドーダス

 そこに森がいる。「それ」は自然そのもの。

 ガンジスインダスドーダスがウォーキングストリートに現れると、道行く人々から様々な声が飛び交った。

 特に多く聞こえたのは「こわい!」という声。小さな子どもからは悲鳴が上がっていた。

 確かに大きくて見慣れない真っ黒な姿は恐ろしい。観客たちは怖いもの見たさで「それ」の周りに集まっているように見えた。私も、恐ろしく、神秘的で、予測のできない「それ」に惹かれてしまった。

 その存在自体はもちろんのこと、大股で歩き、長い棒状の物を宙で回す動き一つ一つに迫力がある。自然そのものである「それ」は自らの体が反応するほうへ動き、周りのお客さんは自然現象で石ころや草と同じ自然の一部だという。



 ガンジスインダスドーダスは、見る人自身を映す鏡であるという。だから、「こわい」も「かっこいい」も「かわいい」も何を感じても正解、不正解はない。人それぞれでいいのだ。



 ガンジスインダスドーダスに出会ったとき、あなたは何を感じるだろうか。

 これは、実際に見た人にしかわからないだろう。ぜひ、ウォーキングストリートでガンジスインダスドーダスと対峙していただきたい。

report:しんしん
photo:広報スタッフA

2023フェスティバルレポート / アーティスト ウォーキングストリート
2023/11/04 06:57 PM

脳汁バクハツのアミューズメントパーク / シンクロニシティ

 シンクロニシティの作品をSNSなどで目にした方も少なくないのではないだろうか。

 静岡PARCOの5階に設けられた特設スペースでは、フェスティバル中にルービックキューブによって描き出された絵が日替わりで展示されている。取材した11月4日は、ワールドカップでもお馴染みのサンキュー手塚・桔梗ブラザーズ・りずむらいすなど静岡ならではの展示が行われていた。



 しかし、シンクロニシティの創造力に満ちた遊び心と驚愕のギミックの数々は実際にその場に行かなければ本当の面白さを味わうことはできない。

 直接会場を訪れると、これは受動的な展示というより、能動的な参加型のアトラクションに近いと感じさせられる。

 会場を訪れた観客自身が動き、見る角度を変える事で1000から2000個のルービックキューブは面白いほどに表情豊かで色鮮やかに作品を描き出す。

 肉眼で見た時の面白さだけではなく、逆にカメラを通して見た面白さなど、視覚的なトリックすら計算され導かれる、シンクロニシティの唯一無二の創造力を体験をしよう。



 毎日13:00/15:00/17:00にはシンクロニシティのパフォーマンスが同会場で行われる。それ以外の時間は、会場内にいるシンクロニシティの2人から解説やルービックキューブの体験を18:00までは受ける事ができる。そして彼らの作品への理解が深まれば、更なる脳汁バクハツは間違いない。



(記事/写真:つばさ)

2023フェスティバルレポート / アーティスト ウォーキングストリート
2023/11/04 05:38 PM

負けられない!本気のジェンガ勝負! / ジェンガ金次郎

 ウォーキングストリートに現れたのは、二宮金次郎ならぬ『ジェンガ金次郎』。鋭い眼光でジェンガ勝負の相手を探します。



 ジェンガ金次郎も対戦相手のお客さんも、一歩も譲らぬ真剣勝負を繰り広げました。本気で負けたくないジェンガ金次郎。音楽に合わせて踊ったり、ジェスチャーをしたりして対戦相手の邪魔をしてきます。

 対戦相手のお客さんも本気で勝負。難しい箇所のジェンガを引き抜くと観客から大歓声が上がりました。

 勝負終了後はお互いをたたえ深々と礼。勝った人にも負けた人にも、手に汗握る名勝負を楽しんだ観客から拍手が送られます。



 今回はカラフルでかわいいノッポチーム「BiG Roots」とのスペシャルな対決も観戦することができました。大道芸ワールドカップのお客さんはジェンガ対決に強いと話す、ジェンガ金次郎。実は静岡にゆかりがある人物との噂も……。

 次なる対戦相手に勝つために、日々、ジェンガの修行に励んでいるようです!

report:しんしん
photo:広報スタッフA

2023フェスティバルレポート / アーティスト ウォーキングストリート
2023/11/04 04:23 PM