Festival Report フェスティバル レポート 2018

ハッピー行きの切符を持つ男たち/KARAQRI

 "What's time is it now?"
 "Show time!!"
 このコールが彼らのパフォーマンスのスタート合図だ。

 リーダーのKAZU、RN-5(レンゴ)、AKITOで構成されるメンバーは、ダブルダッチに、アクロバット、ストリートダンスをミックスしたパフォーマンスを次々に繰り出し、わずかの間も観客の目を飽きさせることはない。人間の体一つで、こんなにも人を楽しませることができるのか―。見ている者をダイレクトにワクワクさせてくれる正統派のアクロバット・アーティスト、それが「KARAQRI」だ。


 
 彼らがダブルダッチのロープを手にすれば、それは命が吹き込まれたように生き生きとうねりはじめる。続いてロープを跳ぶアーティストの演技ばかりでなく、目まぐるしく入れ替わる持ち手の動きにも観客は目を離せなくなる。一つの演技が終わると、まるでアイ・キャッチのようにRN-5とAKITOが回転系のアクロバットを決めてみせる。そして間に挟まれる、ピリリと小気味よいKAZUのトークは、P-KANの空を仰ぎ見ている時のように、爽やかに耳に響く。



 最後に筋肉質で大柄、"ゴリラ"の愛称を欲しい侭(まま)にする(?)RN-5の体が、大の男4人の背中を横回転で飛び越えていく大技「クリップ・オール」を決めると、掛け値なし、心からの感嘆の声と拍手が惜しみなく注がれた。

 KARAQRIは2014年に結成された当初、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスと海外でストリート・パフォーマンスの修行を積んだ。2017年に活動の拠点を日本に移したのは、誰もが楽しめる敷居の低い、人種も、貧富も、年齢も、何もかも超えて楽しんでもらえるパフォーマンスを自分の国でも楽しんでもらえるようになって欲しいから。
 お金を払わなければ見ることができないステージではなくストリートを、ロープさえあれば誰にでも楽しめるようになるダブルダッチを、パフォーマンスの場所と演目に選んだのもそんな理由からだ。

 「みんなに元気をもらって、みんなに元気を分けてあげれば、いつかパフォーマンスで世界平和だって実現する。」そんな明るい願いが込められたパフォーマンスは、いつだって見ているみんなを笑顔にしてくれるハッピーへの最短距離。ちょっとヘコんでる人、ちょっとでも笑ってみたい人、みんなKARAQRIの下に集まれ!!

(晴)
photo by sugiyama

2018フェスティバルレポート
2018/11/04 03:05 PM
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