Festival Report フェスティバルレポート 2004

観客が主役のグランドフィナーレ

ちょっと私事な記事ですが、感動した出来事がありました。
それはあるパフォーマーの演技を見ているときのこと。いよいよ〆の大技です!というあたりに、一人の女性から声をかけられました。
「あの、両替所ってどちらにありますか?」
この方はパフォーマンスをずっと観覧していて、最後の演技を見るよりも投げ銭の心配をされていたのです。

大道芸を演じる者の日々の糧は、投げ銭にあるのは周知のとおり。卓越した芸を披露し、お客様から心ばかりの対価を頂戴することで、さらなる進化を遂げることができます。もちろんこの大道芸WCでも、投げ銭のスタイルを尊重しています。
世の中のほとんどは、すでに価値が決められているものがほとんど。自分で価値を見定めてその対価を払う、美術品など芸術の世界ではあたりまえのスタイルも、日々の生活ではなかなか実感できるものでないかもしれません。

〆の技が終わったそのパフォーマーは、お決まりの文句とともに投げ銭用のトランクを広げました。
「さぁ、今からはお客様が主役の時間です! お心ばかりをお入れください!」
山を築いていた観客の大半が、そのまま遠くへ歩き去るなか、さきほどの女性は財布から取り出したものを折りたたんで、トランクへと向かっていました。

2004/11/05 15:07