会場レポート

スタッフが飛び回り取材し、会場よりその様子をお届けします。

「自分のタイミングでもう一度、やらせてください。」
風に揺れる6本のポールをつないだ頂上から降ってくる、少しだけ緊張感を帯びたDemaNToidのTAKUの声に、会場は一斉に固唾を呑む。2度までチャレンジで、演技の成功の証となる倒立にまで至らなかった後の言葉だ。
ほんの一息の間、気持ちを整えるように沈黙した後、 静岡駅の北口広場に差した太陽の光に、緑色を基調にしたコスチュームが輝いて翻った。腕立て伏せをするような体制で体を平行に保ち、そこからゆっくりと天に爪先を向ける。そのままぴたりと静止し、更に、たまたまバランスが取れた状態ではない、と証明しようとするように、そのまま数秒、体を止めた。

 「成功です!」それを待っていたかのように、会場にパートナーのNarumiの声が響きわたった。「おおっ!」という歓声と、拍手が入り混じる。公の場では初めて成功したパフォーマンスだった―。



 それはさながらデマントイド・ガーネット。ダイヤモンドよりも稀なる輝きを放つ、とまで言われる美しい緑色の宝玉のようだ。

 この、新たなる挑戦に成功したDemaNToidのTAKUは、器械体操競技からアクロバット・パフォーマンスの世界に入った。体脂肪3%、という超絶の筋肉は、日頃の練習と鍛錬だけで作り上げられたという、驚異的な経歴をもって作られたもの。一方、パートナーのNarumiは、はじめからサーカス・アクロバットでの活躍を夢見た生粋のパフォーマー。体からはちきれんばかりのパワーで会場を飛び回り、声を張って観客の気持ちを盛り上げる。その、152cmの小柄な体躯から繰り出されるのは「ハンド・トゥ・ハンド」という力を要する技。それは人々が普段、何となく想像している”女性の肉体の限界”という固定観念をいとも鮮やかに裏切るものだ。その演技は観ている者を驚かせ、ちょっとした爽快感さえ与えてくれる。
 男性同士の組み合わせが多いアクロバットユニットには珍しい男女ペアだが、そのピッタリな息の合い方は、二人がプライベートでもパートナー関係にあることにも起因しているだろう。ただ、それ以上に演技の相性が合わなければ、ユニットとして成り立たない。二人の場合、夜の10時から朝まで練習に熱が入ることがある、と言う。

 
 
「大道芸でアクロバットをする醍醐味は、観客と一体感を味わえること。観客の皆さんにハラハラ、ドキドキを一緒に楽しんでもらえるのがいい。」と大道芸の魅力を語る二人。今回の、高さを活かしたパフォーマンスは、ステージよりも天井を知らずの屋外でこそ輝く。「お客さんの顔が遠くまではっきり見えるのも魅力です。」とNarumiさんは笑顔を見せた。

 静岡の大道芸ワールドカップに以前、フリンジ部門で出場したDemaNToidの2度目の晴れ舞台は、念願のステップアップを果たしたON部門。天に伸びていくポールのように来年は更なる高み、ワールドカップ部門出場を目指す。そのために二人は常に自らの技を研ぎ澄ましていく。
 静岡を彩る、美しい宝石のようなパフォーマンスを見られるのは、静岡ではあと1日。皆さんもぜひとも足を運んで、その目で確かめてほしい。そしてDemaNToidと一緒に、楽しいハラハラ、ドキドキの世界に巻き込まれてみよう。

(晴)

2018会場レポート::アーティスト オン部門 / trackback (x)
2018/11/03 07:36 PM written by : スタッフ

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